生薬紹介『地黄』について

生薬紹介《地黄》

本日紹介する生薬は『地黄』になります。
《乾地黄》・・・薬味薬性 甘寒 血剤
《生地黄》・・・薬味薬性 苦大寒 血剤
《熟地黄》・・・薬味薬性 甘微苦微温無毒(酒という温剤に漬けて胃の負担を軽くし、保存性を良くしたもの)

地黄は修治により。名称が異なり、地黄の根をそのまま乾燥させたものを『乾地黄』、お酒を加えて蒸したものを『熟地黄』といいます。
また、新鮮な根をそのまま使用したものを『生地黄』といいます。
煎じ薬で使われる地黄は主に乾地黄となっています。
地黄は血剤として主に、補血・じいんの目的で使用されますが、血液を増す作用と『瘀血』になる前の血液に潤いを与えて、血流を良くすることで瘀血がつくられるのを予防しています。
(瘀血とは血液の流れが悪く、血流が滞っている状態のことをいいます)その他にも、地黄は血液の熱を冷ます目的としても使用されます。
ただし、これは注意点があり、熱を冷ます作用により、合わせて胃も冷やしてしまうため、胃もたれ、食欲不振・下痢・悪心の原因につながってしまいます。
そのような状態を防ぐために、蜂蜜で練り固めて丸剤にしたり、お酒(温剤)を用いて修治をしたり、お酒で飲むことで胃腸への負担を軽減しています。

地黄の配合されている代表的な漢方薬には、『八味地黄丸』『牛車腎気丸』などがあります。

参考:原典に拠る重要漢薬 平成薬証論 著者:渡邊武 発行元:雄渾社漢方出版事業
訓和 古方薬議 木村 長久 日本漢方醫學會出出版部